世界11カ国で人材紹介事業を展開する業界大手の株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(代表取締役会長兼社長:田崎ひろみ、以下JAC)は、大転職時代における転職・雇用への意識や実態を人材紹介会社として調査・発信する「JACリサーチ」を設立し、仕事に関するさまざまな調査レポートを発信しています。
今回は、転職を検討したことがある正社員と採用を担当する人事担当者を対象に、転職に関する実態調査を行いました。

【「転職実態調査」調査概要】
■実施時期:2025年4月4日(金)〜4月7日(月)
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:
①一般企業で正社員として働く20代〜50代の男女1,200人(3年以内に転職した転職経験者600人、3年以内に転職を検討したが転職しなかった転職検討者600人)
②一般企業の人事担当者で採用担当歴3年以上の男女200人
※本調査は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
目次
人事担当者に聞く、転職防止のための対策
人事担当者が従業員の転職防止に役立つと考えているのは、「給与」や「業務」に関すること
まず、企業の人事担当者(採用担当歴3年以上)200人に聞きました。
従業員が転職しないために行うと良いと思うことを聞くと、「昇給・ボーナスの制度を透明にする」(81.5%)、「業界水準に合った給与を支払えるように調整する」(80.5%)、「業務の見直し、効率化、自動化を推進し、労働時間を適正化する」「定期的に面談等を実施し、社員の悩みをキャッチアップする」(同率79.0%)が挙げられました[図1]。
給与や業務内容などの見直しや改善が、従業員の転職防止に役立つと考えられているようです。
![[図1]従業員の転職防止に良いと思うこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図1]従業員の転職防止に良いと思うこと.png)
従業員の転職防止、実際に役立つのはキャリアプランや人間関係に配慮した「部署異動」や「面談」
では、従業員の転職引き留めに役立つことは何なのか? 人事担当者として従業員が辞めるのを引き留めた経験が「ある」(「何度かある」49.5%+「1回だけある」15.5%=65.0%)と答えた人事担当者130人に[図2]、実際の引き留めに役立ったことを聞きました。すると、「人間関係やキャリアプランに対応するための部署異動、配置転換を促す」(83.1%)、「定期的に面談等を実施し、社員の悩みをキャッチアップする」(80.8%)、「マネージャー層の教育を強化し、部下との関係構築を促す」(80.0%)が上位に挙げられました[図3]。
転職防止には「給与」が重要と考えがちですが、実際に引き留めに成功したのは「人間関係やキャリアプランに対応する」「社員の悩みをキャッチアップする」が上位となり、「給与」だけが引き留めに有効というわけではないようです。
![[図2]人事担当者の従業員の引き留め経験[図3]実際の引き留めに役立ったこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図2]人事担当者の従業員の引き留め経験[図3]実際の引き留めに役立ったこと.png)
転職で重視するのもきっかけになるのも、1位は「給与」
転職の際に重視すること、1位「給与」 2位「休日・休暇制度」 3位「勤務場所」
次に、現在正社員として働く20代〜50代の男女1,200人(3年以内に転職した転職経験者600人と3年以内に転職を検討したが転職しなかった転職検討者600人)に聞きました。
まず、転職の際に重視することを聞くと、基本給、ボーナス、昇給率などの「給与」(76.6%)が最も高く、次いで年間休日、有給休暇取得率などの「休日・休暇制度」(54.8%)、「勤務場所」(50.5%)の順となりました。男女で比較すると、女性は「休日・休暇制度」(65.7%)、「勤務場所」(61.5%)のスコアが男性(それぞれ49.3%、44.9%)より16ポイントも高く、4割以上が「会社の雰囲気・社風」(43.2%)を重視しています[図4]。
![[図4]転職の際に重視することTOP10](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図4]転職の際に重視することTOP10.png)
転職のきっかけ、1位「給与・待遇への不満」 2位「仕事内容への不満」 3位「人間関係の問題」
転職のきっかけを聞くと、「給与や待遇に不満があったから」(37.0%)、「仕事内容に不満があったから」(32.4%)、「人間関係に問題があったから」(29.0%)が上位に挙げられました。給与や待遇への不満が転職のきっかけとなるようで、30代・40代は「給与や待遇に不満があったから」(30代38.0%、40代39.4%)が特に高くなっています。一方、50代は「仕事内容に不満があったから」(35.7%)が高くなっています[図5]。
![[図5]転職のきっかけTOP10](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図5]転職のきっかけTOP10.png)
転職情報で困ったことは、実際の人間関係や社風がつかめない
転職情報は、「転職・求人サイト」「転職エージェントと面談」「企業の公式サイトや採用ページ」で収集
転職の際の情報収集について聞くと、情報源は、「転職サイト・求人サイトを利用」(38.3%)、「転職エージェントと面談」(22.4%)、「企業の公式サイトや採用ページを見る」(21.8%)の順に多くなっています。従業員規模別に見ると、従業員300人以上の企業に勤務する人は「転職エージェントと面談」(27.3%)、従業員300人未満の企業に勤務する人は「ハローワークで相談する・求人情報を確認する」(21.0%)がそれぞれ「転職サイト・求人サイトを利用」の次に高くなっています[図6]。
![[図6]転職時の情報源TOP10](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図6]転職時の情報源TOP10.png)
転職情報の収集で困ったことは、「職場の人間関係」「社風・カルチャー」「労働環境の実態」がつかめない 転職後、聞いていた条件より悪いと感じるものは「会社の雰囲気・社風」「給与」「社内の人間関係」
転職の情報を集める際に困ったことを聞くと、「職場の人間関係がブラックかどうかが見えづらい」(80.6%)、「社風やカルチャーが自分に合うか判断しにくい」(78.5%)、「労働環境や待遇の実態がつかみにくい」(78.1%)が上位に挙げられました[図7]。そこで3年以内に転職した転職経験者600人に、転職後、事前に聞いていた条件より悪かったものを聞くと、「会社の雰囲気・社風」(12.0%)、「給与」(11.3%)、「上司・同僚の関係性」(10.7%)が挙げられました[図8]。事前に社風や人間関係などの情報を集めにくいことが、転職後に「なんだか違う…」というギャップを生む原因となっているようです。
![[図7]転職情報の収集で困ったこと[図8]転職経験者が転職後、聞いていた条件より悪いと感じたこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図7]転職情報の収集で困ったこと[図8]転職経験者が転職後、聞いていた条件より悪いと感じたこと.png)
転職検討者が転職しなかった理由、とどまった結果
転職を検討することで今いる会社の良さに気付いたり、転職をとどまったことで待遇が改善されるケースも
次に、3年以内に転職を検討したが転職しなかった転職検討者600人に、転職しなかった理由を聞きました。すると、「自分の希望する条件の企業が見つからなかったから」(26.3%)、「自分のスキル・能力だと今の会社が最適だと思ったから」(18.3%)、「現職の条件・環境が改善されたから」(17.8%)が上位に挙げられました[図9]。
また、転職しなくて良かったと思うことを聞くと、「給料など福利厚生が改善された」(15.2%)、「評価される機会が増えた」(14.2%)、「人間関係が改善された」「仕事の負担が減った」(同率14.0%)と答えた人もいます[図10]。転職を検討したことで今いる会社の良さに気付いたというケースもあるようです。
![[図9]転職を検討したものの転職しなかった理由[図10]転職しなくて良かったと思うこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図9]転職を検討したものの転職しなかった理由[図10]転職しなくて良かったと思うこと.png)
転職後のミスマッチを防ぐために
転職前に心がけたこと、「自分の優先順位の明確化」「就業条件の確認」「承諾前に不明点を確認」
次に転職経験者600人に、より良い転職とするために転職前に心がけたり実行したりしたことを聞きました。
すると、「自分自身の優先順位を明確にした」(25.5%)、「求人票等で就職検討先での就業条件をしっかり確認」(20.8%)、「不明な点は内定を承諾する前に必ず確認」(19.8%)が挙げられました。また、転職経験者の約6人に1人は「転職エージェントと密に連携」(17.7%)と答えています[図11]。
![[図11]転職経験者が転職前に心がけたこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図11]転職経験者が転職前に心がけたこと.png)
転職者のミスマッチ退職が起きないよう、転職者の立場に立って対応する人事担当者は 「実際の業務を説明」「求職者の知りたいことを積極的に聞く」「求人情報で誇張や曖昧な表現を避ける」
次に、人事担当者200人に、転職後にミスマッチが起きやすいものを聞くと、「給与」(33.5%)、「残業時間と残業代の支給有無」(28.5%)、「具体的な業務内容」(27.5%)、「上司・同僚の関係性」(24.5%)、「会社の雰囲気・社風」(23.5%)が上位に挙げられました[図12]。
![[図12]人事担当者が考える、転職者が転職後にミスマッチが起きやすいもの](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図12]人事担当者が考える、転職者が転職後にミスマッチが起きやすいもの.png)
人事担当者に、転職後のミスマッチを起こさないために転職者受け入れの際に行うと良いと思うことを聞くと、「実際の業務内容を詳しく説明する」「求職者の『知りたいこと』を積極的に聞く時間を作る」(同率85.0%)、「求人情報について、誇張や曖昧な表現を避ける」(84.0%)が上位に挙げられました[図13]。
人事担当者は従業員の転職防止を図るとともに、転職者を採用する際にもミスマッチが起きないよう細心の注意を払い実践しているようです。
![[図13]人事担当者が行う、転職後のミスマッチ防止策](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図13]人事担当者が行う、転職後のミスマッチ防止策.png)
転職を考える人の半数が転職エージェントを利用
転職エージェント利用経験は49.2%、従業員300人以上規模の20代~30代の転職経験者では約7割が利用
最後に、転職エージェントについて聞きました。まず、転職を考えたことがある正社員に転職検討時のエージェントの利用有無を聞くと、49.2%が「使ったことがある」、50.8%が「使ったことがない」とほぼ半々でした。
これを勤務先の従業員規模別に見ると、従業員300人以上の企業に勤務する人は56.0%と半数以上が転職エージェントを利用し、20代〜30代の転職経験者では69.3%とほぼ7割が転職エージェントを利用しています[図14]。
![[図14]転職エージェントの利用](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図14]転職エージェントの利用.png)
転職エージェントを利用することで、転職の「困った」が解消されやすい
転職エージェントの利用経験がある590人に、転職エージェントを利用して良かったことを聞くと、「非公開求人の情報が得られる」(70.5%)、「希望業種の様々な企業の情報が得られる」(68.1%)、「直接企業には聞きにくいことを聞いてくれる」(66.6%)が上位に挙げられました[図15]。
前述[図7]の通り、転職情報を集める際に困ったこととして、「職場の人間関係がブラックかどうかが見えづらい」「社風やカルチャーが自分に合うか判断しにくい」「労働環境や待遇の実態がつかみにくい」が挙げられましたが、転職エージェントを活用することで、直接聞きにくいことを聞いてくれる、条件面の交渉を代行してくれる、職場の雰囲気や社風を教えてくれるなど、転職に伴う困った課題が解消されることも少なくないようです。
![[図15]転職エージェントを利用して良かったこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図15]転職エージェントを利用して良かったこと.png)
転職エージェントは人事担当者にとっても良いパートナーに
人事担当者も認める転職エージェント、人事担当者の良きパトナーとして高評価を獲得
では、転職者を採用する側の人事担当者は、転職エージェントをどう捉えているのでしょうか? 転職エージェントを利用すると答えた人事担当者に利用して良かったことを聞きました。
すると、「特定のスキルや経験を持った候補者を見つけやすい」(88.4%)、「候補者の選定をエージェントが代行してくれる」(84.1%)、「エージェントが求職者に対して内定を前向きに受けてもらうようフォローしてくれる」(83.3%)、「即戦力の人材を紹介してもらえる」(82.6%)、「転職者に対して、企業の強みや魅力をプロの視点で伝えてもらえる」(81.2%)など、人事担当者の8割以上が転職エージェントを高く評価しています[図16]。 転職エージェントは、人事担当者からも良きパートナーとして認識されているようです。
![[図16]人事担当者が転職エージェントを利用して良かったこと](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/05/[図16]人事担当者が転職エージェントを利用して良かったこと.png)
コンサルタントによる調査への見解
今回の調査結果について、ジェイ エイ シー リクルートメントのコンサルタントは下記のような見解を述べています。
■エグゼクティブディビジョン 次長 佐久間 祥子
転職者は、所属企業もキャリアの選択肢に。人事担当者は具体的なキャリア提示を
一般的に転職エージェントのコンサルタントは、転職に迷っている方がいれば積極的に転職を勧めると思われていますが、われわれJACのコンサルタントは転職を検討している方と面談を進める中で、現職にとどまることを提案することもよくあります。今回の調査では、転職に迷った際に現職にとどまることも選択肢に入るということ、また人事担当者として優秀な人材を逃さないためにできることがあることが明らかになりました。
転職を検討したものの転職しなかった理由としてトップに挙がったのは「自分の希望する条件の企業が見つからなかったから」 ([図9])。コンサルタントが転職を検討している方とキャリアの棚卸しをさせていただく際、他の企業を検討する中で現在の所属企業でこそ生かせるキャリアを積んでいることにご自身も気付き、転職をやめるといったケースもあります。
人事担当者が実際に従業員の転職の引き留めに役立ったことには「人間関係やキャリアプランに対応するための部署異動、配置転換を促す」を1位に挙げています([図3])が、「キャリアパスを明確化する」も多くの人事担当者が引き留めに効果的だったと回答しており、すぐに対応するのが難しい給与等の制度の改定を検討しなくても、優秀な人材を引き留められることが明らかとなりました。実際に私たちコンサルタントにも企業の人事担当者から、リテンション施策やエンゲージメントを高めるためにどのような工夫があるか等の相談をいただくことがあります。
転職のミスマッチを防ぐ、企業と求職者の相互理解を深めるためのエージェント利用
転職後に事前に聞いていた条件より悪いと感じたこととして1位に挙がった「会社の雰囲気・社風」([図8])は、給与条件と異なり、求人票では明示しにくい条件です。中途採用時のミスマッチを減らすために、これまでは新卒採用で実施されていた職場見学の機会を中途採用でも設けるなど、工夫をする企業も増えてきています。
また、採用面接は時間が限られていることも多く、企業は求職者が魅力的と感じる条件やその企業独自の制度等を伝えきれず、優秀な候補者を逃してしまうことがあります。求職者側も企業に遠慮して本当に聞きたいことを聞けずに、それが入社後にミスマッチが起こる原因となり退職してしまうこともあります。
私が担当するエグゼクティブ領域では、給与や福利厚生といった条件よりも企業とのカルチャーフィットを重視されることが多いので、求人票では読み取れない社風や価値観をエージェントとしてできるだけ客観的に説明するようにしています。時間をかけて実態を正確にお伝えし、時間の限られた採用面接でしっかり見極めをしていただけるように、われわれエージェントは企業の理解を深める役割を担っていると考えています。
人事担当者がエージェントを利用して良かったことの上位が「特定のスキルや経験を持った候補者を見つけやすい」「候補者の選定をエージェントが代行してくれる」となっています([図16])。即戦力となる人材を中途で採用することが以前よりも増える中で、より専門性の高い人材が求められています。求人条件もより専門的な内容となっていることを示す結果であり、当社で預かる求人内容とも一致していると感じました。
調査報告書
調査報告書はこちらからダウンロードできます。
この記事の担当コンサルタント

JAC Groupにて20年以上人材紹介に携わる。コンサルタントとして、ヘルスケア、ライフサイエンス、消費財サービス、製造業と幅広い業界で多くの支援実績があり、現在はエグゼクティブ分野に特化して活動。JACの人材開発部マネージャーとして、中途採用、社員トレーニング、管理職育成プログラムの企画立案に携わった経験もあり、人事・組織課題に対する高い理解力も強みとする。