会社員として働く20代~50代の男女1200人を対象に、「理想の働き方」の価値観に関する調査を行い、10タイプに分類した働き方のうち、「主タイプ」が1つ、もしくは2つとなった735人についてまとめました。

目次
調査方法の詳細
「理想の働き方」調査方法
「理想の働き方」を10タイプに分類し 、それぞれ3つずつ代表的価値観が盛り込まれた設問を用意しました。回答者は「とてもそう思う」(6点)、「ややそう思う」(4点)、「どちらともいえない」(3点)、「あまりそう思わない」(1点)、「まったくそう思わない」(0点)の5段階評価から自身の気持ちに最も近いものを選択し、3設問の点数を合算することで、タイプ別のスコアを算出。最も得点の高いタイプを「理想の働き方」の主タイプとします。
今回は、「主タイプ」が1つまたは2つだった人について分析をしました。
【「理想の働き方」の価値観変化に関する調査 調査概要 】
■実施時期:2025年7月16日(水)~7月17日(木)
■調査方法:インターネット調査 
■調査対象:
会社員として働く20代〜50代の男女1200人(うち「主タイプ」がひとつまたはふたつだった735人について分析)
※本調査は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
「理想の働き方」を10のタイプに分類し、回答をスコア化することで診断
「理想の働き方」を下記の10タイプに分類し、回答者は、タイプごとに設定された代表的価値観フレーズへの共感度を5段階で評価。回答スコアを項目ごとに合算し、最高得点となったタイプを回答者の「主タイプ」として、理想の働き方のタイプを導き出しました。設問や集計方法の詳細は、末尾で紹介しています。

ワークライフバランスを大切に、安定志向も高い現代の価値観
4割以上が「ワークライフバランス型」を理想の働き方とする。2位は「安定志向型」
理想の働き方スコアを算出すると、最も得点の高い「主タイプ」が複数となる場合もあるため、まずは「主タイプ」が1つになった人に着目し、その割合を確認しました。「理想の働き方」の主タイプとして、最も多くの人が該当したのは「⑥ワークライフバランス型」(44.4%)となり、家族・趣味・睡眠も大切に、バランスよく仕事をしたいと考える人が多いことが分かりました。
2位は「①安定志向型」(17.1%)で、大企業や公的機関志向で安定した働き方を求めるタイプとなりました。
3位は「②収入重視型」(10.6%)で、給与、賞与を重視するタイプとなり、働く場所や環境、時間などよりも、収入を重視する働き方で、「⑥ワークライフバランス型」とは対照的といえそうです。
4位は「④自己実現・スキルアップ型」(8.8%)で、好きなことや得意なことに取り組み、やりがいや社会貢献を重視する働き方となりました[図1]。
![[図1]理想の働き方「主タイプ」が一つだった人の内訳](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/09/[図1]理想の働き方「主タイプ」が一つだった人の内訳.png)
理想の働き方の主タイプが2つの場合、
最多の組み合わせは「ワークライフバランス型」×「安定志向型」
理想の働き方の主タイプが2つだった人について、多かった組み合わせをみると、1位は「①安定志向型×⑥ワークライフバランス型」(18.4%)で、約2割となりました。勤務先の安定性や将来性を重んじながら、自身の家族や趣味などプライベートも充実させた働き方を理想とする人が多いことがわかります。2位は「①安定志向型×②収入重視型」(12.3%)となり、大手企業や公的機関での仕事によって高収入を得たいと考えるタイプであると考えられます。
組み合わせパターンのトップ2項目にはいずれも「安定志向型」が入っており、 「主タイプ」が2つになる人は、安定志向の傾向が強いようです。
3位は「④自己実現・スキルアップ型×ワークライフバランス型」(9.5%)、4位は「②収入重視型×⑥ワークライフバランス型」(7.3%)がランクインしており、プライベートとのバランスを大切にしつつも、スキルアップや収入を重視した働き方を目指すなど、自分軸を持って働き方を選びたい様子がみられ、働き方が多様化した現代の傾向がうかがえます。
「ワークライフバランス」を重視しつつ、そこにどのような価値観を持つかで、さらにタイプが細分化される様子がうかがえる結果となりました[図2]。

性年代別・転職経験有無で表れる、理想の働き方の違い

「ワークライフバランス型」を理想とする割合が多いのは女性30代で、55.4%
理想の働き方タイプの割合分布を性年代別で見ると、「⑥ワークライフバランス型」が全性年代で最も多く、その中でも、「女性30代」は、55.4%と一番多い結果に。一方、「男性20代」では22.9%にとどまり、「①安定志向型」(20.2%)が僅差で2位となったほか、 「③ポジションアップ志向型」(11.0%)も多い結果になっていますが、他の性別年代と比べてタイプの偏りが少なく、理想とする働き方が多様性に富む様子が分かりました。その他、「男性30代」では「④自己実現・スキルアップ型」(14.3%)、「男性50代」では「②収入重視型」(16.3%)、「女性40代」「女性50代」では「①安定志向型」 (22.2%、20.0%)が多いなど、性年代別の特徴が表れる結果となりました[図3]。
![[図3]理想の働き方(性年代別)](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/09/[図3]理想の働き方(性年代別).png)
転職経験者は「ワークライフバランス」の重視度が高く、
検討中の人は「収入重視」が多い
転職経験による違いをみたところ、「転職経験者」は「⑥ワークライフバランス型」(47.7%)が多く、仕事とプライベート両方の充実を願う人が多いようです。一方、「転職経験無し/検討中」の人は、「②収入重視型」(16.4%)「⑩キャリア探求型」(10.9%)が多く、「転職未経験/検討無し」では「①安定志向型」(21.5%)が多いことがわかりました[図4]。
![[図4]理想の働き方(転職経験の有無別)](https://research.jac-recruitment.jp/wp-content/uploads/2025/09/[図4]理想の働き方(転職経験の有無別).png)
あなたは何型?「理想の働き方」タイプ診断シート
以下の表の設問1~30について「とてもそう思う~まったくそう思わない」の5段階で評価し、タイプごとに点数を合計してください。最も高得点となったタイプが、あなたの「理想の働き方」の「主タイプ」となります。ぜひご自身の「理想の働き方」タイプ診断にご活用ください。
※主タイプは複数になることがありますが、できるだけ詳細に回答し、主タイプが2つまでに絞られるとよりイメージがしやすくなります

「理想の働き方」タイプ診断はこちらから
コンサルタントによる調査への見解
今回の調査結果について、ジェイ エイ シー リクルートメントのコンサルタントは下記のような見解を述べています。
ワークライフバランスの本質は、ライフステージにあわせた「働き方の柔軟性」
近年、管理職や高度専門職といったハイクラスの転職希望者の間で、「ワークライフバランス」の捉え方が大きく変化しています。今回の調査では「睡眠や休息の時間がしっかり取れる働き方をしたい」という設問もありましたが、単なる労働時間の削減ではなく、「働き方の柔軟性」こそが本質的なニーズであると捉えています。
特に30代の女性転職希望者に多く見られるのが、「家事・育児とキャリアの両立」を目指す姿勢です。働く時間の“長さ”よりも“時間帯の自由”を重視しており、「1日10時間を超えるほど働く日があっても構わないが、自分のペースで働きたい」という声も少なくありません。これは、時間を自分でコントロールできる環境こそが、真のワークライフバランスにつながるという価値観を反映しています。単なる「時間の使い方」ではなく、「人生の選択肢」を広げるための重要な視点であると考えています。
こうしたニーズは、高いスキルと責任を持ち、成果を出すための自己管理能力を備えているハイクラス人材で顕著で、「選択できる働き方」が求められていると考えています。だからこそ転職活動においても、企業の制度や文化がこの柔軟性を許容するかどうかが、重要な判断材料となっています。
また、調査では男女ともに40代、50代に「安定志向型」の傾向が出ていますが、40代は、育児に加えて親の介護が始まるライフステージでもあり、仕事以外の責任が増える時期です。そのため、制度面が整っている企業への転職を希望するケースが増加しています。
年収はただ上がれば良いのではなく、
働き方とのバランスや正当に評価されているかを重視
求職者とのコミュニケーションを重ねると、単なる「収入重視」という表面的な傾向の裏に、より本質的な価値観が見え隠れしていることが分かります。転職の目的を聞く調査などでも「年収アップ」が上位に挙がるものの、実際にコンサルタントが候補者と対話する中で見えてくるのは、「収入×働き方」のバランスを重視する姿勢です。単に金額を求めているのではなく、「自分が評価されているか」「市場価値が正しく反映されているか」を重視しています。自己のスキルや経験に対する正当な対価を求め、企業選びにおいても、報酬体系だけでなく、評価制度やキャリアパスの透明性を重要な判断材料としています。
例えば、収入がこれまでの1.5倍になるけれど、これまでに培ったスキルや経験が生かせないのであれば、多くの方はその求人に興味を持ちません。今回の調査で50代男性に収入重視型の傾向が他の属性に比べて多く出ていますが、私のこれまでの経験でも、50代前後の方ほど、前提としてそれまでのキャリアを生かせる上での年収アップを希望されます。
年齢を問わず、このような志向の方はスキルの重要性を理解しているので、目先の年収ではなく、「先を見据えたキャリア設計」を前提に転職活動をしています。そのため、理想的な職場への転職がかないやすく、企業とのマッチングもスムーズに進む傾向があります。
この記事の担当コンサルタント

大学卒業後、大手総合人材企業に入社。2017年にジェイ エイ シー リクルートメントに転職し、主に日系グローバル企業の管理部門職種(人事・経理・法務・総務・広報・監査など)を中心にコンサルタントとして転職希望者と採用企業とをご支援。2019年よりマネージャーとして、また2024年より次長として組織をけん引。